相続放棄
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1、相続を放棄するとは
相続の基礎知識のページで紹介しましたが、相続人は故人の権利だけでなく、借金等の債務も引き継ぐことになります。また、望まない形で相続人となってしまい、他の相続人やその関係の方と一切の関わりを持ちたくないということもあるでしょう。
そんなときに他の相続人の方に「私は相続を放棄する」と口で言うだけでは法律上は相続人のままですし、自分の取り分がない遺産分割協議書等に署名押印してもやはり相続人としての立場は変わっていません(それどころか、相続することを承認したものとみなされることもあります)。
正式に相続を放棄するには、家庭裁判所で相続放棄の手続をしなければなりません。
相続放棄の手続は訴訟のように相手がいるものではないので、主に必要な書類を集めて家庭裁判所へ相続放棄の申述書を提出するという手続になります。当事務所では、裁判所に提出する書類の作成や必要書類の収集等、相続放棄の手続をサポートさせていただきます。
2、相続放棄の料金
相続放棄の料金表
内容 | 当事務所の手数料 | 実費 |
---|---|---|
相続放棄申述書の作成 |
一人目 28,000円~ 二人目以降、一人につき 20,000円~ |
印紙代800円 +切手代 |
戸籍等の収集 | 請求した回数や取得した通数により計算します |
戸籍1通 450円 除籍1通 750円 住民票1通 350円程度 (市町村により異なります) |
書類作成 | 1通5,000円~ ※必要な場合のみ作成 |
0円 |
3、相続放棄の注意点
① 期間制限
相続放棄をするには、原則としてご自分が相続人であるということを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄申述書を提出しなければなりません。これを熟慮期間といいます。
しかし、形式的に3ヶ月を過ぎると相続放棄が全く認められなくなるわけではなく、例えば後から故人に借金があることが分かった場合等、正当な理由があれば受理されることもあります。
② 期間の延長
故人の財産状況を把握するのに時間がかかる等の理由で、相続を承認するか放棄するか判断するのに時間がかかる場合は、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立てることで期間を延長することができます。
③ 相続を承認したものとみなされることがあります
故人が亡くなった後、故人の財産を使ったりしてしまうと、相続を承認したものとみなされ、相続放棄をすることができなくなってしまうことがあるのでご注意ください。
相続放棄は、故人の借金等のマイナスのものだけでなく、預貯金や不動産、株式等のプラスの財産も含めて放棄することで、「最初から相続人でなかったことにする」ための手続だからです。
④ 相続放棄により、新たに相続人になる人が出てくることがあります
相続を放棄すると、最初から相続人でなかったことになるため、例えばお子さんが全員相続放棄すると次の順位の相続人である直系尊属や、直系尊属が皆亡くなっていると故人の兄弟姉妹に相続人の立場が移っていくことになります。
特に故人に借金があることを理由に相続放棄する場合には、ご自分が相続放棄をすることによりご親戚に債権者からの請求がいってしまうと予期せぬ迷惑をかけてしまうことになります。相続放棄をされる際は、次に相続人になる方に連絡をしておくことをお勧めします。
なお、相続する権利が順番に巡っていき全員が相続放棄すると、法定相続人がいない、という状況になることがあります。その場合の債務の返済や財産の行き先は相続財産管理人の選任による手続で決められることになります。
⑤ 限定承認
相続には、故人の財産も債務も一切受け入れる単純承認と、一切受け入れない相続放棄の他に、相続することになる財産の範囲内で借金等の債務を返済する限定承認という手続があります。
単純承認や相続放棄はそれぞれの相続人が一人ですることができますが、限定承認は相続人全員でする必要があり、限定承認をした後は相続財産の清算手続を行っていくことになります。限定承認も相続放棄と同じく、3ヶ月の期間制限があります。