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不動産の登記とは

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1、不動産の登記とは

 不動産の登記というと、あまり耳馴染みのないことばかもしれません。登記をする機会は一般的には人生で2~4回程度と決して多くなく、その都度司法書士が粛々と手続をこなしていることが多いため登記という制度を利用していることに気づかないこともあるからです。

 しかし、不動産の登記が社会で果たしている役割は、意外と重要なものです。

不動産に関する権利関係を明らかにして、権利を守るための制度

家の名義、というのは登記されているということです

 法律というものは、ややこしい一面もありますが様々なことを考えて作られています。

 例えば不動産を買おうと思ったとき、誰と交渉すればよいでしょうか。そこに住んでいる人、と思われるかもしれませんが、その人は持ち主から借りているだけの人かもしれませんし、無断でそこに住んでいる人かもしれませんし、所有者の一人には違いないけれども実際は何人かで共有しているかもしれません。

 また、所有者に間違いない人からその不動産を買ったとしましょう。契約を結んで、代金を支払いました。いざ、そこに引っ越そうと思うと「私もその所有者からこの不動産を買った」という人と鉢合わせるとどうなるでしょうか。

 不動産の登記とは、このような事態を未然に防いだり、権利関係をあらかじめ示しておくことで安心して取引ができるようにしたりするための制度です。

 法務局で不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得すれば、どこの誰がこの不動産をどんな割合で所有しているのか、誰でも調べられます。また、後で説明する担保権や用益権の状況についても確認することができます

 先のような「あの人にもこの人にも売った」ような事例ですと、原則として先に所有者として登記をした人が勝つ、ということになっているのです。

登記されていること

 では、どのようなことが登記されているのでしょうか。

 まず、先の例のとおり所有者の住所と名前が登記されています。何人かで共有していれば全員の住所と名前、そしてそれぞれの持分が登記されています。

 次に、その不動産についている担保権が登記されています。抵当権や根抵当権といった権利のことです。所有権とは違い、一つの不動産にいくつも担保がつくことがあります。いくつか担保がついているときに、もし競売になったときに配当を受ける優先順位も登記の内容で決まります。

 また、その不動産を利用するための権利(用益権といいます)が登記されます。賃借権や地上権、地役権といったものです。(賃借権は登記されていないことの方が多いです)

 そして、税金を滞納したときなんかは差押の登記がされたり、確定していない権利が仮登記として登記されていたりします。

 このような様々な権利が、発生したり変更になったり移転したり消滅したり・・・ということが一つ一つ登記されていきます。

 もちろん、権利の内容が一体どの不動産についてのものなのか明らかでなければならないので、不動産を特定するのに必要な物理的な状況(所在や地番・家屋番号、用途や広さ等)が登記されています。

 登記されている内容は登記事項証明書(登記簿謄本)で確認することができます。どのようなものか不動産の登記簿の見方のページで紹介しています。

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2、権利証とは

 権利証ということばは割とよく聞くことがあるかもしれません。借金のカタに権利証を持っていかれる、というのは昔ながらの漫画やドラマでたまにみかけるシーンです。

 権利証とは、不動産を売ったり担保に入れたりする際に、自分が所有者であることを証明する書類のことです。

 これが手に入るときは、不動産の所有権を取得したときです。不動産を買ったり相続したときに所有権移転登記等をすることにるのですが、その際に法務局から発行されます。何回かに分けて所有権を取得した場合は、所有者であることを証明するために全ての権利証が必要になります。

 「権利証」とは言ってもその形式は所有権を取得した時期によって異なります。

登記済証

 これは、かつて不動産を取得した際の、登記申請書の副本(法務局に提出した登記申請書と同じものをもう一部提出したもの)等に、法務局が「登記済」というハンコを押したものです。権利証としての効力がある場合は法務局の受付年月日や受付番号が記載されています。

 このようにして作成されるので、この世に1つしかない、文字通り所有者であることを証明するための書類です。

登記識別情報

 平成17年に不動産登記法という法律が改正された際に、これまでの登記済証から、登記識別情報というものに改められました。(実際に運用が代わる時期は、法務局ごとで異なります。)

 これは、情報社会に対応するために、登記済証というアナログな書類では不便だから、権利証も情報にしようという試みです。

 具体的には、所有者となった方にアルファベットと数字で構成される12ケタのパスワードのようなものを通知することにしました。書類ではないので、情報を入力すればオンライン申請等が利用しやすくなるというわけです。

 制度としては便利ではありますが、書類ではなく情報になったために、取り扱いに注意が必要になりました。

 というのも、登記識別情報をコピーされたり写真を撮られたり、覚えられたりすると、権利証を盗まれたのと同じ使い方ができるためです。

 このため、非常に重要な情報として、登記識別情報が通知される際には「登記識別情報通知」という書類に12ケタの文字を記載し、その上に貼り直しのできない目隠しシールが貼られて交付されます(最近は、シール形式ではなく袋とじを破って開封するタイプに順次変更になっています)。

 そして、開封すると情報が流出した危険を疑わざるを得なくなるため、必要なときにだけ手続をする司法書士等が開封し、返却の際は再び封をするという形で運用されています。

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